カウンセリングの頻度について

「カウンセリングには、どれくらいの頻度で通えばいいんでしょうか?」
これはカウンセリングを希望される方からよくされる質問の一つです。

カウンセリングの頻度は「週1回」「隔週に1回」「月に1回」「必要に応じて」のいずれかになることが多いと思います。上記の4つをベースに、基本的には心理士とクライアントとの間で相談して決めることになります。また、当オフィスで精神分析的心理療法を行う場合は、週1回のほかに、週2回、週3回を提案する場合もあります。ちなみにフロイトが考案した「精神分析」という方法は週6回面接を持つところからスタートしています。

では、この頻度を相談して決定する際に、ポイントになるのはどのようなことかについて少し書いてみたいと思います。あくまで私の考えであるということをお断りしておきます。

私がもっとも大切にしていることは、『相談者の主訴(相談内容)がどのようなものか』という点です。
主訴がその方のパーソナリティ、性格、生き方にかかわるものであり、かつそういった根本的な部分からの変化を相談者が求めている場合には、週1回(または2、3回)の頻度を提案することが多くなります。なぜなら、頻度が多くなればなるほど、カウンセリングの時間に支えられながら、自分のこころの触れにくい部分や、気づいていなかった自分自身の一部と交流しやすくなるからです。こうしたタイプのカウンセリングを行う場合には、痛みやこころの揺れを伴うからこそ、頻度を多く設定します。

反対に、相談者の主訴が特定の人との関係性や、特定の状況に対する対処、特定の症状の緩和や解決などに限定されていて、相談者も基本的にはそこに焦点化して取り組みたいと希望されている場合には、頻度は隔週1回を提案することが多くなります。

相談内容が具体的で限定的な場合には、カウンセリングで検討したことを実生活で試してもらい、次の面接で振り返るなども行うため、面接と面接の間隔をあける必要があります。また、不必要に頻度を多くすると、相談者が望んでいないにもかかわらず、思いがけない形でこころの深い部分に触れてしまう場合もあります。そのため、具体的な相談の場合は隔週に1回くらいが適切な場合が多くなるでしょう。

『月1回』や『必要に応じて』という場合についてです。正直なところ、私のほうから初回面接時にこのような頻度を提案することは、あまりないかなと思います。そういった頻度では、カウンセリングで何かを提供することが非常に難しくなってしまうからです。そのため、このような頻度で面接を継続するのは、下記のような場合に限定されると思います。
・週1回や隔週1回の面接をある程度の期間行い、問題が改善した方が経過観察としての面接を希望される場合
・ある程度ご自身で問題に対応しているが、専門家から少し異なる視点の意見も欲しいと希望される場合
・傾聴されることや、自分の頭の中を整理すること、こころのメンテナンスのために来所される場合(解決や緩和・改善を望むような問題が特別ない場合)
・継続的な面接を提供しない方が相談者のためだと判断される場合

いかがでしょうか。
カウンセリングの頻度については、上記のようなことをポイントに検討していきます。

頻度について理解しやすいよう、英会話を例にとってみたいと思います。例えば、これから海外で仕事も生活もしようと思っている方の場合と、ときおりある会社での英語のプレゼンのために英語を習いたい方の場合では、そのレッスンの頻度は異なるでしょう。前者の方の場合は、英語が人生にかかわる事柄になりますので、留学やホームステイなど、より濃密に英語に触れる必要があります。しかし後者の方の場合はそこまでの濃密さは必要ないかもしれません。

カウンセリングも同様で、人生や生き方にかかわる問題に取り組む方の場合は、より濃密な時間が必要になります。今、目の前にいる上司との関係に困っている方の場合は、必ずしも高頻度でなくても対応できるかもしれません。

少しわかりやすいように実例を出します。あくまで目安にしていただくためのものです。絶対こうだ、というものではありません。

例① 上司との関係による適応障害で休職中の方が、復職を目指すために通勤の練習やストレス対処について相談したい場合は、隔週に1回の頻度を提案するかもしれません。しかし、その方が復職後にまた別の上司とのトラブルで休職に至ってしまいました。そのため、自分は上の人間との関係に何らかの問題を抱えているのかもしれないと思い、もう適応障害を繰り返さないように根本的な変化を目指したい場合、そのときは週1回以上の精神分析的心理療法を提案すると思います。

例② 今、恋人との関係で不適応に陥っており、どう対処すべきかを相談したい場合は隔週に1回を提案します。しかし、その方がこれまでの恋人とも似たような問題を繰り返していることに気づき、自分は愛する人となぜか同じようなトラブルを繰り返している、その根本的な部分を理解したいと考えた場合は、週1回の精神分析的心理療法を提案することになるでしょう。

すごく単純化して書いてますが、例えば上記のような感じになります。

そしてもちろん最終的には、相談者の経済状況・生活状況など現実的な側面も考慮して、話しあって決定していきます。
ここで書いたことは決して「こうすべき」という話ではなくて、あくまで頻度を考える上での考え方の軸になるものです。

カウンセリングを検討されている方はぜひ参考にされてください。


2025年08月02日